先生からのメッセージ

先生方からのメッセージをお届けします
英語科

小澤 淑恵

1994年~在職

I Remember You

 ある日、授業後に一人の生徒が私のところにやってきて「○○(名前)って知っていますか」と訊いてきました。「○○さん?知っているわよ!」と答えると、「叔母です!」と嬉しそうに話してくれました。そうです、卒業生姉妹の娘さんだったのです。また、ある時は保護者会で「先生!」と声をかけられ、以前担任した生徒が保護者として来ていることに驚いたことがあります。かれこれ30年近く勤めていると、こういう時が来るのだなと、年月の流れをしみじみと感じます。
 文化祭や同窓会クリスマスでは多くの卒業生と再会しますので、さながら脳トレの記憶ゲームのようです。「私のこと覚えていますか」とテストしてくる卒業生も必ずいます。覚えていますよ。ただ、名前はすぐに出てこないことはあります。帰りの最寄り駅に着いたとたんにふと思い出すこともあります。名前はパッと出てこなくても、在学時代の制服姿はすぐに目に浮かびます。教室で勉強している姿(あるいは、していなくて注意されている姿!)、休み時間に友達と談笑している姿、音楽の授業の帰りに歌いながら廊下を歩いている姿、部活に駆け足で向かう姿、自然教室での姿…まるで瞬間タイムスリップしたかのように、当時の些細なやり取りまでもが、鮮明に蘇ります。同窓生の皆様も同じ感覚を味わったことがあるのではないでしょうか。捜真では皆様永遠に13~18歳なのです。
 建物が変わり、制服が変わり、先生が変わり、生徒が変わり、同じ一年は二度とありません。しかし、どんなに時が経っても、変わらずに脈々と息づいているのが捜真のスピリットだと思います。ここで交わした言葉、ここでの思い出、学んだこと、ここに確かに「いた」こと、これらは永遠に生き続けます。そしてその存続のために、捜真が大切にしていることを大切にするために、教員として更に尽力しなければと最近特に強く思います。
 2020年から2021年にかけて、コロナ禍で想像以上に深刻な影響を及ぼしたのが、礼拝で讃美歌を歌えなくなったことでした。音楽科の先生方が独唱したり動画を作ったりと様々な工夫をしてくださったのですが、やはりチャペルや教室で皆と声を合わせて歌うということが、いかに私たちの心身の健康を支えていたのか、ということを痛感しました。2022年度から徐々に歌うようになってきて、まだコロナ前のようにはいきませんが、段々と讃美歌のスピリットを取り戻しつつあると思います。私事ですが、これを機にゴスペルを始め、歌の力を実感している毎日です。
 今年こそは多くの同窓生が来校できて、クリスマスでの「きよらに」と「ハレルヤ」の大合唱が実現できますことをお祈りしております。そして、お会いした時は是非名乗ってくださいね(笑)。現在の立派な姿と、在学中の制服姿を重ねて、教師冥利につきるなぁと感慨にふけること間違いないです。

2023.1.30 公開

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