捜真ノート

母校に対して誇りに思っていることや、同窓生の経験を分かち合うページです。

バンクーバーだより NO.3

 バンクーバーは、街のあちこちで桜が咲き始め、春の到来を感じます。私の勤務する公立高校でも桜が満開!生徒たちとお花見をするべく計画中です。今回は、バンクーバーの義務教育事情についてお伝えしたいと思います。

 

↑バンクーバーのあちこちで見られる桜と一緒にパチリ!

 

 義務教育は、小学校が5歳のキンダーガーデンから始まり1~7年生までの8年間、高校が8年生から12年生の5年間あります。学校は9月から始まり、冬休みと春休みが2週間ずつあって、6月に終わるので1年に9ヶ月しかありません!

 バンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州のカリキュラムで重視されている3本柱は、小学校も高校も「コミュニケーション力」、「考える力」、「個人が社会で生きていく力」で、生徒が毎日の日常生活において、これらの3つの力を自由に使っていけるように、そして子供たち自身が自分にその力がついているかどうかを自己評価できることを究極の目標に置いています。

 日本と大きく違う点は、教科書がないところです。どのような教材を使ってどうやって授業をするかは一人一人の先生に任されているので、隣のクラスと授業内容が全然違うということがよくあります。また「区別化授業」が多く採用されています。これは、生徒一人一人の興味や学習スタイル、レベル、文化的背景を考慮して、授業で学ぶ内容や課題を選べるように、学習者の多様性に応じた授業を展開する授業方法です。伝統的な授業形式だと個人差はあまり考慮されず、ほとんどが一斉授業で一冊の教科書を使い、テストで終わりますが、区別化授業だと学習者中心の授業なので生徒の個人差を踏まえて授業が展開されます。したがって、多様なグループ別に分かれ、各自で調べ学習をしたり、複数の教材や資料を使い、選択肢がある課題(例えば、自分が学んだことをポスターや絵本にまとめてもいいし、ビデオを作成したり、パワーポイントで発表しても良く、生徒が自分で課題を選択できるようになっています。)を提出して評価されます。

 

娘の小学校のクラスの遠足(演劇ワークショップ)

 

 高校では選択授業が多いのも特徴です。さまざまなスポーツや吹奏楽やジャズバンド、演劇、ダンス、ロボット工学、犯罪学、コンピューター、写真などがあり、実際に料理をしてカフェテリアで販売する家庭科クラスもあります。言語も公用語のフランス語以外に、日本語、スペイン語、中国語、インドの地方言語であるパンジャブ語などを履修できます。

 高校では主要科目に加え、ボランティアや仕事をして社会経験を積む「人生設計(総合)」も必修科目になっています。これを含め、学校の授業以外の地域活動(地域の文化・スポーツ活動、ボランティア活動、アルバイトなど)での経験は、大学や短大の入試の際に非常に重視されています。ですから、多くの生徒は、学校に行かない3ヶ月の間それぞれの関心に合わせて主体的に過ごしています。

 

選択日本語クラスの生徒が日系文化センター・博物館にて書道体験

 

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