捜真ノート

母校に対して誇りに思っていることや、同窓生の経験を分かち合うページです。

ケニア日記1

ジャンボー!(ケニアの公用語スワヒリ語で「こんにちは!」)

はじめまして。
私は今年4月末から東アフリカのケニアでJICA青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員として活動しています。

ケニアに赴任して半年。協力隊に合格した直後、新型コロナウィルス感染拡大が始まり、2年間の待機期間を経て、やっと派遣が実現しました。長い道のりでしたが、今こうしてケニアで活動できていることに感謝です。

そもそも私が国際協力に関心を持ったきっかけは、捜真生時代に参加したカンボジア研修でした。私と歳がさほど変わらない物売りの子どもたちと出会い、「私には何ができるのだろうか?」と考えるようになりました。一度は民間企業に就職しましたが、カンボジアで見た光景が忘れられず、自分の目で現場を見てみたくて応募しました。

そんな私がケニアで今取り組んでいるのは、住民の収入向上を目指す活動です。
任地の特産品であるバナナやソルガム(日本名でタカキビ)を使った加工食品の開発や販売促進に取り組んでいます。

バナナ農家さんとバナナチップスを作り近所の市場で販売したり、ソルガム生産者グループのミーティングに参加し日々の収支を記録するレコードキーピングをレクチャーしたり。農家さんの希望や関心ごとにも耳を傾けながら、今どんなことが必要かを考えて実践する、まさにトライ&エラーの毎日です。

ナイロビ日本人祭りでの一枚。ソルガム農家さんとソルガムパウダー、クッキーを販売。ソルガムは栄養満点の穀物

私の任地は首都ナイロビから300キロ、車で約6時間の場所にある町。実は紅茶の生産が盛んで、一面お茶畑が広がる自然豊かな場所です!ケニアからは想像できない景色ですよね。

任地の風景。私のお気に入りの場所

さて、公用語のスワヒリ語で好きな言葉があります。
「ポレポーレ(ゆっくりゆっくり)」 
活動が思うようにいかず悩んでいた私に同僚がかけてくれた言葉です。
「焦らなくて大丈夫。ゆっくりでいいんだよ。」という意味です。

ケニアでの暮らしは決して楽しいことばかりではありません。想像以上にメンタルが疲れ、不便で思い通りにいかないこともたくさんあります。
日常茶飯事の断水と停電。約束時間よりも1~2時間遅れてくることは当たり前。公用語のスワヒリ語に加えて現地語を話されると何を言っているのか全く理解できず会話に入れない孤独感。ボランティアの立場だからこそ感じる支援の限界。

でもそんな環境のなかでも、明るく、逞しく、前向きに生きているケニア人に元気をもらっている自分に気づかされます。彼らの力になりたくてケニアに来たのに、逆に私が受け取ってばかりです。たくさんの温かな人たちに囲まれながら、気づけば自然と笑顔になっています。

家に遊びに行くと精一杯のおもてなしをしてくれる農家のお母さんたち。いつも楽しくお喋りしてくれるピキピキ(バイクタクシー)のお兄ちゃんたち。自分の娘のように接してくれる同僚。
道端で知り合いに会えば必ず握手を交わし、家族は元気か?最近の調子はどうか?と近況を報告し合います。徒歩10分で行ける職場へ、日によっては1時間かけて行くことも。(笑)

協力隊の活動はとても地道な草の根の活動です。現地の人と同じものを食べ、同じ言語を喋り、喜怒哀楽を一緒に味わう。始めは戸惑い、ホームシックに何度も襲われました。けれど、ゆっくり時間をかけて相手のことを知ろうとしていくことこそが、お互いを分かり合う一番の近道なのですね。

ケニアでの生活も残り1年半。長いようであっという間のはず。
毎日を丁寧に過ごしていきたいです。

ケニアの主食、ウガリ。沸騰したお湯にメイズ(白いトウモロコシ)の粉を入れてかき混ぜれば出来上がり。食感はマッシュポテトに似ている。ケニア人いわく、ウガリを食べると力が出るのだとか

出張先の小学校で。珍しい日本人に皆興味深々。生き生きした子どもたちからも元気をもらっています

                                                                              Y.I. (高64回・2012年卒)

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